事例報告 03

ボトムアップ型のD&I推進 大企業ならではの取組スタイルで理解促進を図る!
設   立 1939年3月
本社所在地

 
東京都渋谷区
渋谷3-6-6
( 古河事業所:茨城県古河市鴻巣758 )
代 表 者 取締役社長
竹田 玄哉
従 業 員 数 約8,000名
▼ダイバーシティスコア 取り組み分野・分類
7.全体
(1~6含む、
従業員サーベイ、評価、教育・研修



▼支援テーマ
ダイバーシティ全体への理解促進
(LGBTQ領域の知識向上含む)

取り組み背景
2022年11月に「ダイバーシティ推進センターぽらりす」の出前講座を受けたことをきっかけに、社内でのダイバーシティに関する講習を開始。古河市のマザー工場を中心に、国内及び海外拠点へ向けた、更なるダイバーシティ推進策を進めていく。
目指す姿
 ◆組織文化の改革
 (女性をはじめ多様な人財が活躍することが当たり前)が5年後に実現できている状態
 ◆雇用形態に関わらず、パフォーマンスを正当に評価されるようになっている状態
 ◆2030年までに、女性社員比率35%を達成
短期的目標
  1)D&I推進ロードマップ/アクションプランの確定
  2)アクションプランを実行に移す上での不安点解消
中長期的目標
  1)社内の多様性に関する現状把握
  2)女性活躍推進
  3)外国籍社員の活躍推進
取組のあしあと
 1.取り組み概要
課 題 ◆D&Iを進めていくことに対しては従業員理解を得られているが、実情に関する理解が伴っていない。
◆外国籍人材の採用や、女性管理職比率は業界では高いため、数値に満足してしまい、働きやすい環境を作って行くことが難しくなってしまっている。
◆ひとつひとつの取組項目に対する優先順位が不明瞭である。
取 組 ◆アクションプランの作成→目標設定
(3回の支援内にて、プラン内容のブラッシュアップ実施)
効 果 ◆悩みの種でもあった「取り組み項目の優先順位付け」について、決定することができた。今後も計画表を見直しつつ、根拠集めから始めていくことで方針を決定した。
◆従業員に対するエンゲージメント調査内容の具体的項目の整理を行い、実施計画を固めることができた。
 

アクションプランを確認しながらアドバイスを行うコンサルタントの星さん。
企業の現状理解から課題整理を行い、現実的な取組目標の設定ができた。

 

2.具体的取り組み
今後取り組むべき分野や項目の整理
 ジェンダーギャップやLGBTQ+の分野においては、ほとんどが取組希望項目だったため、今後取り組みたいことを洗い出し、実現可能性をチェック。
 LGBTQ+に支援を広げるための通称姓などは、現在の旧姓を使うことができる制度を拡張するなど、現存の制度を基に、すぐに取り組むことができる部分と、新しく始めなければならないものに整理。


詳細なアクションプランの作成
 取り組むべき分野に優先順位をつけた。
◆優先順位:1)女性活躍推進、2)外国籍人材雇用、3)LGBTQ+の働きやすい環境づくり



※女性活躍推進の中でも、現在取り組んでいる新卒の採用を継続しつつ、1)離職率の低下、2)製造分野での女性技術者のロールモデル発信が最優先事項となる。

作成したアクションプランのブラッシュアップ
 女性活躍推進、外国籍社員の活躍推進、LGBTQ+が働きやすい環境づくりの前に、社内の多様性に関する現状を正しく把握することから取り組みを始めていく。

 例)エンゲージメント調査へのインクルージョンスコアに関する質問の追加、座談会の開催、等
 ⇒社内での変化の必要性を訴えるために、まずは調査や座談会等で根拠を集めていく。


取組成果と今後に向けて
 1.短期的成果
 目標であるアクションプランの設計から落とし込みまでが完了。取組優先項目も決められたため、今後はその根拠集めを行っていく。また、支援期間中に、次期管理職候補である班長へ向けたダイバーシティ研修を実施。研修資料の作成から当日の講師担当までを、一貫して組織開発室が担った。D&I推進において、社員への定期的な発信は重要である。多様性を企業のイノベーションにつなげていく。
 
アクションプランのフェーズは3段階に分けており、
企業風土の醸成から施策発展・社会的発信までを、取組内容にて設定した。

 
▲班長向け研修時に使用した資料(一部抜粋)



 2.今後の取組スケジュール
ダイバーシティに関する設問を追加したエンゲージメント調査の結果を基にエスノグラフィーを取り入れ、インクルージョンスコアに関わる項目をより具体化し施策検討していく。
女性社員対象の座談会の企画・実施
外国籍社員対象の座談会の企画・実施
上記①~③の調査の結果の分析、次期アクションの選定
上長に根拠と施策を提案
 (承認が取れたら次期アクションの実施)
 
 
▲班長向け研修・企画力向上研修時の様子


 
企業担当者からのメッセージ
 

HAMS本部 組織開発室
秋山 奈津子 さん


 


 
❶コンサルティングを受ける前の思い
 当社はダイバーシティを重視し、性別、年齢、国籍、人種、民族、思想信条、障がいの有無、配偶者や子の有無などにかかわらない多様な従業員のポテンシャルを最大限に活かすことを宣言しています。ダイバーシティ推進センター「ぽらりす」様に助言をいただき社内講習を実施していましたが、県企画のコンサルを受けることで、この理念を具体化し、組織全体により良い風土を浸透させることができると期待し応募しました。
❷コンサルティングによる変化
 異なる視点を持つメンバーと対話をし、困りごとを言語化したことで、課題や障壁をあらためて確認しました。アクションプランを策定し、男女の採用比率、性別や障がいの有無に関わらない工程づくりなど、ダイバーシティを戦略的に進めるポイントが明確になりました。社内調査をもとに施策を改善し、企業価値を向上させることと、新たな人財を迎える採用活動の質を上げて、既存の多様な人財の活躍の機会の提供の必要性に気づきました。
❸全体的な感想
 ダイバーシティに関する専門知識や経験豊富なコンサルタントのサポートを受けることで、社会の潮流やベストプラクティスからアクションプラン策定のヒントを得る事ができました。県の担当者の方々からの細やかなサポートや肯定を受け、安心感を得られました。さらに、今回のコンサルを機に他社との交流にもつながり、社内データを蓄積しつつ、ダイバーシティ推進を継続していくことの重要性を再認識することができました。


 
担当コンサルタントからのメッセージ
 三桜工業様はD&I推進の様々な分野に関心を持っていらっしゃったため、どの分野から取り組むべきかの選定から、まずはコンサルティングを始めさせていただきました。コンサルティングをきっかけに、社内にて改めて現状の整理や、今後取り組んでいきたい部分を話し合っていただきました。まずは女性活躍推進と外国籍社員の活躍推進を軸とし、それに付随して、D&Iに関する好事例の紹介や研修の実施など、意識醸成にも取り組んでいただくこととなり、会社全体に対し調査を実施して現状把握をしたうえで、ギャップを埋めるような取り組みをする運びとなりました。
 フェーズ(アクション1,2,3)に分けて、これからの取り組みについて細かく話し合わせていただいたので、コンサルティング終了後すぐに行動に移していただけるかと存じます。
 コンサルティングの時間だけでなく、社内に持ち帰ってしっかりと議論いただき、課題や今後の取り組みの整理にもご協力いただいたおかげで、アクションを具体化するところまで到達することができました。

株式会社JobRainbow
星 賢人 さん