事例報告 05

福祉業界に新たな風を!取組タスクを整理し、より一層のD&I推進へ
設   立 2017年11月
本社所在地 茨城県水戸市酒門町1177-3
代 表 者 理事長
丹野 大
従 業 員 数 85名
▼ダイバーシティスコア 取り組み分野・分類
.多文化共生(人事制度、働き方)

▼支援テーマ
外国籍人材の活用(推進体制の整備含む)

取り組み背景
法人設立時期よりスピード感を持ってD&I推進を行ってきたが、同時に取り組むことが煩雑となり、優先順位を含め整理が必要となった。
令和5年6月より技能実習生の受入れを開始したことをきっかけに、多文化共生領域を中心とした取組を深めていく。

目指す姿
 ◆国籍を問わず、職員に対する就労サポート体制を整え、誰もが横並びの働きやすい勤務環境ができている状態

 ◆福利厚生面の魅力を社内外へ広め、「新規採用の拡大・従業員の労働環境改善・利用者への還元」の循環型スタイル構築

短期的目標
 1)外国籍職員へのマニュアル整備、
   コミュニケーションツールの見直し
 2)社内でも評価の高い勤務体制(週休3日制など)の周知
 3)全体的なD&I推進内容の整備(活動計画づくり)


中長期的目標
 1)外国籍人材の採用~育成までのシステム化(ICT活用)
 2)SNSや動画などを活用した法人PR促進
 3)外部事業者との連携構築


取組のあしあと
 1.取り組み概要
 
課 題 外国籍職員に対する日本語の教育が十分にできていない。教える側である担当職員の負担増問題も出ている。
新たな福利厚生制度を整備しても、認知度が低く、法人全体に浸透していない。
D&I推進をしていくにあたり、事務担当者の業務量や責任の増大が懸念事項。
取 組 施設長、相談員に対するヒアリング調査実施
D&I推進内容を改めて整理し、取組タスクを作成。採用計画や方針も含め、進捗状況の見える化をおこなう。
効 果 職員へのヒアリングを実施したことで、外国籍職員に対する育成面の具体的課題も抽出できた。→解決策決定もスピーディーに完了。
新規施設開所までのD&I取組タスクを整理し、採用目標に対するKPIも設定できた。
→目標に対する行動タスクの具体化と、進捗管理を進めていく。
 

コンサルティングの一コマ。
頻繁に改正のある外国籍人材の関連法規情報や、任せたい職種に応じた外国籍人材の活用方法についても
コンサルタントの井上さん(左)からアドバイスを受けた。


 
2.具体的取り組み
 ◆施設長・相談員に対するヒアリング調査
 教育担当のポジションでもある「施設長・相談員」の職員を対象とした、「人材・教育・制度」に関するヒアリングを実施した。

  日報問題
   外国籍職員にとって「日報」は鬼門。
   何を書けば良いのか、文章にすること自体も難しく、作成にかなりの時間を要している。
   ⇒日報テンプレートの見直し。選択項目を増やし、簡易に作成できるようしていく。
   文章を書く欄を減らす。Kintone等のアプリ導入検討。
   (外国籍職員に限らず、機械操作の苦手なシニア人材にも優しい環境改善を行う。)


  ②マニュアル問題
   マニュアル自体はあるが、教育サイドも全員が中身を理解出来ている訳では無く、あまり活用されていない。
   ⇒マニュアルの中身の再精査を行う。外国籍職員へのマニュアルはフリガナを付ける・
   機械などにはローマ字表記のテプラを貼るなど、何に対しても意味のあるものを作る→運用し、
   管理をしていく。


  ③週休3日制問題(※現在試験的に導入中)
   活用しやすい勤務形態の職員とそうでない職員がいるため、一部不満が出ている。
   ⇒活用中の職員からは好評であり、働き方改革の一環としても正式に福利厚生へ盛り込んでいく。
   職員に対する説明機会の確保と、勤務ローテーションを行い、全員が活用できる仕組みに整えていく。
 

 ◆
D&I推進内容の整理、取組タスクの作成
  「何のために取り組むのか?」を明確にするため、目的・目標を設定。
   取り組んでいる項目の整理を行った。先ずは令和6年9月の新規施設開所に向けた取組に絞り、内容を精査した。
   Monthlyでの項目設定まで完了。これから、セグメント毎のタスクを整理し、進捗管理を行っていく。


取組成果と今後に向けて
 1.短期的成果
 支援を重ねる度に、以前から取り組んでいるD&I推進内容の整理が進み、今後対応していくべき事項をまとめることができた。
 ただがむしゃらにダイバーシティの項目へ取り組むのではなく、「何のために?」「誰のための?」といった、法人としてのD&I推進目的を改めて考えてもらえたおかげで、やるべきことの優先順位づけもスムーズに行えた。このような取り組みは属人化しがちな面があるため、タスクには項目別に担当者を割り当て、法人全体でD&I推進を進めていけるような仕組みを作った。


 




多様な職員が働く現場(左)
利用者のご家族に施設の状況を知ってもらうため、
更には外部に向けた法人PRのためにつくったInstagram(右)
 2.今後の取組スケジュール
 ◎外国籍人材の採用
  インドネシアへの現地視察
   技能実習と特定技能の採用活動(4名前後確保予定)
  留学生(ネパール)のアルバイト雇用
   令和8年4月から正社員として雇用予定
  ◎SNSの活用
  ◆動画制作(メインは法人PR用のYouTube動画)
   施設入所者の様子や求職者向け等に分けて配信。全職員に積極的な参加を呼びかける
  ◎インカムの導入
  ◆職員の一部がPHSを使いこなせない問題を解決するための改善策
  ◎ICT活用に向けた効果検証(継続実施)
  ◆日報・勤怠管理・会計などに係る部分のDX化
  ◎継続的な女性管理職の起用

 
 
新規施設開所までのD&I取組タスク(一部抜粋)。
取組を進める人が偏らないよう、いずれの項目にも担当者を紐づけた。
今後は、この内容の進捗管理を行っていく。

 


 
企業担当者からのメッセージ


法人本部 事務課長
柳沼 広樹 さん






 
❶コンサルティングを受ける前の思い
 コンサルティングを受ける前は、法人としてダイバーシティを推進していく中で、ダイバーシティに関する課題だけでなく、法人としての課題(不足する介護職員や、現場の課題である記録や業務の平準化、新規開所予定施設のPR等)は山積しており、どこから対応していくか、解決方法は合っているか等、不安に感じていました。
❷コンサルティングによる変化
 コンサルタントと一緒に課題を整理していくことにより、今取り組むべき事項が明確になり、優先順位をつけて対応することができました。また、取り組む中で疑問や新たな課題が出てきた際も、定期支援の度にその都度対策を決められたことで、不安解消につながり、取り組みに前向きになりました。 
❸全体的な感想
 コンサルティングを受けて、不足する介護職員や、現場の課題である記録や業務の平準化に関して、ダイバーシティに準じた取り組み(外国籍職員の採用の更なる推進や、外国籍・シニア職員に寄り添った業務改善、デジタルツールの活用…キントーン等、PRのための動画制作)により、法人の課題解決、ダイバーシティの推進にもつながっていくと感じました。 課題解決については現在進行中ですが、まずはしっかりと今回ご指導いただいた内容に取り組み、ダイバーシティを推進していくと共に、令和6年9月に新規開所予定の「(仮称)特別養護老人ホームかつた」の開所に向けて進めていきたいと思います。


 
担当コンサルタントからのメッセージ
 「多文化共生の取り組みについて」というテーマでコンサルティングがスタートしましたが、進めていく中で法人内の様々なD&Iに関する課題が見つかっていきました。ただし、担当者がD&Iに対して真摯に取り組む姿勢と理解に向けた高い意識があり、アドバイスも積極的に受け入れてもらえたため、短期・中長期的目標のいずれにおいても、すぐに実践と計画の立案の実行に移していただけました。担当者の行動力と責任力、法人全体の協力的雰囲気の後押しで、短い支援期間にも関わらず取組が具体的に進行していることを感じることができました。
 仁心会様は、外国籍職員へのサポート、シニア職員への理解、女性管理職の登用など、D&I推進においては幅広く対応している法人であり、職場の雰囲気づくりばかりでなく、働く一人一人に寄り添った就業環境の形成に取り組んでおります。今後もさらにD&Iへの取り組みを推進し、すべての職員が働きやすい環境となり、結果として利用者の皆様にも喜んでいただけるような法人となることに期待しています。

行政書士事務所 ​ISAパートナーズ​
行政書士 井上 尉央さん