1.取り組みを始めたきっかけと経緯
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働きやすく、多様性のある職場づくりを目指したのはなぜですか? |
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鈴木さん
「みんなが幸せになる」ことを大切にしたいからです。社員にとって働きやすい職場環境を整備すれば、社員だけでなくその家族も幸せにすることができると考えています。そのために、時短勤務を認めたり、男女問わずに育児休暇を取得してもらったり、プライベートの時間を大切にできる職場づくりを心掛けています。 |
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「女性の活躍」というテーマに着目したきっかけを教えてください。
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鈴木さん
もともと女性の多い職場で、女性の活躍をサポートすることは喫緊の課題だったからです。女性はライフイベントに合わせて働き方に変化があります。女性が結婚や出産を経験して仕事よりも優先すべきものを抱えたとき、独身時代と違った働き方を選びたいと思うことは自然な流れでしょう。加えて、女性特有の体調の変化もあります。女性社員の多い企業としては、こういった女性の変化と向き合い、社員が働き続けられる職場を目指す必要がありました。とはいえ、女性だからと優遇するのではなく、男性社員も含めて皆が働きやすい職場を目指しています。ですから「女性活躍」とは、鈴木ハーブ研究所にとって職場環境整備に取り組むための土台だといえます。 |
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「障害者就労支援」というテーマに着目したきっかけを教えてください。
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鈴木さん
東海村障害者地域生活自立支援ネットワーク「まつぼっくり」さんからお声がけいただき、作業を依頼したのがきっかけです。B型事業所の「まつぼっくり」さんには2011年の8月から内職を依頼して、カレンダーなどを作成していただいています。他にも人を大切にする経営学会会員である障害者就労支援事業所「株式会社こころと」さんと連携し、障害者の方に実際に会社に来てもらって、商品の梱包作業をしていただいています。
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まつぼっくりさんに依頼した会社カレンダーは、2022年度いばらきデザインセレクションに選定されている。
店頭では絵はがきも販売している。 |

こころとさんのスタッフには配送センターに来社してもらい、商品梱包を依頼。
取材日は、まつぼっくりさんが作成したカレンダーの梱包作業を行っていた。
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2.取り組みに対しての現状・課題 |
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働きやすい職場づくりを進める上で重視していることを教えてください。
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鈴木さん
社員間のコミュニケーションを活性化させることです。鈴木ハーブ研究所は役職や性別、部署にとらわれず、さまざまな社員同士の会話があふれる職場です。もちろん社長と社員のコミュニケーションも大事にしています。当然ながら仕事の話は多いですが、世間話もよくしますね。これがいざというときに相談しやすい雰囲気につながっていると思います。毎日社員の顔をしっかりと見て話をしているので、朝礼のときの顔つきだけで悩んでいる社員がわかることもあります。こうした社員には声をかけたり、個別面談の場を設けたりと必要に応じた対応を取っています。
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社員さんとのコミュニケーションの取り方や関わり方について話す鈴木さん。
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職場環境改善のための具体的な取り組みを教えてください。
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鈴木さん
特別な制度を設けるというよりも、社員の希望や困りごとに合わせて柔軟な対応を取っています。例えば、希望する社員がいれば性別関係なく育休を取得できるようにしています。また、様々なサポートもあります。例えば、社員のキャリアアップのために、勤務時間内での外部プロジェクトへの参加を勧めています。他にも全社員に有給休暇取得を促し、独身の社員もプライベートの時間を充実させてほしいと考えています。コロナ禍を経験したことで、最近はリモートワークで勤務している社員もおります。 |
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障害のある方と一緒に仕事をする上で工夫していることはありますか?
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鈴木さん
障害のある方に内職を依頼する場合、安定した納品や品質保持が難しいこともあります。しかしながら「まつぼっくり」さんとの連携を強化し、しっかりと相談することで十年以上共に商品を作り続けられています。障害のある方と働くことは、その特性に合わせた配慮が必要です。こうした配慮の細かさは敬意を持って学ばせていただいています。今後も障害者就労支援を通して、弊社の職場にも優しさが生まれたら喜ばしいと思っています。
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3.社員の声
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育休を取得したときの流れを教えてください。
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藤田さん
妻が妊娠してすぐ、育休のことも含めて上司に相談したところ、「おめでとうございます」と祝ってくれた言葉が今でも印象に残っています。育休は3週間ほど取得しました。育休中もこまめに連絡があって、仕事の状況を把握できていたので、職場復帰がしやすかったです。育休を終えた現在も、共に働く皆さんから妻や子供のことを気遣う言葉をいただいています。日頃の社員同士のコミュニケーションのおかげで、今後も家族や自分自身のプライベートを相談できるだろうなという安心感があり、働きやすい職場です。 |
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育休取得について相談できたのはなぜですか?
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藤田さん
お互いへのリスペクトがあり、性別に関してフラットな雰囲気のため、自分が男性だという理由で育休を取りたいと相談していいのか悩むようなことはありませんでした。育児を両親に頼りにくいという自分の状況を踏まえて、育休取得を相談したという形です。また、社員の先輩ママさんに育児の相談ができるのも心強かったです。 |
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職場の魅力は何だと感じていますか?
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藤田さん
「人」の良さですね。そのおかげで、さまざまなコミュニケーションが生まれていると感じています。みなさん、優しさにあふれる方ばかりです。鈴木ハーブ研究所はとても働きやすい職場ですが、働き方改革のための制度や目標値を設けることよりも、「人」の良さがその重要なカギになっている気がします。
とはいえ、"ただお互いに甘い”という意味での優しい職場ではありません。一人一人が仕事への熱い思いを持っているからこそ、良い緊張感を保てています。 |
育休を取得した当時の
周りの方の反応や自身の心境について話す藤田さん。
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4.今後の展望
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今後どのような会社にしていきたいと考えていますか?
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鈴木さん
人を育てられる会社にしたいです。社員一人一人の強みを伸ばし、地域や社会に貢献できるようにすることを目指しています。社員たちが個性を生かした活動を通して成長し、いずれ卒業していくようなイメージです。外部研修や他者事業とのコラボ、個人の特性に合ったキャリアアップなどに力を入れたいですね。外部研修は自社の良さを伝えたり、外のものを吸収したりできるので良いと思っています。現在も社風として「自活力を上げる」ことを掲げています。自分の力で活躍できる人材を育てていきたいと考えています。 |
「人」や「事業」の面から今後の展望について伺った。
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今後取り組んでみたいことは何ですか?
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鈴木さん
子連れ出勤をやってみたいです。子どもを持つ社員が安心して働けるだけでなく、子どもたちにとっても、世代を超えた交流ができるのではないかと思います。会社に来ると、同世代の子どもだけでなく、様々な大人とも関われる環境をつくることができます。もちろん、事業の方でもやってみたいことがたくさんあります。きれいな肌を作るために全体からアプローチしていきたいと考えています。現在は基礎化粧品を販売していますが、メイクやヘアケア用品なども製造したいです。さらに、食生活のサポートもしていきたいです。必要な栄養を体の内側からも届けたいですね。 |
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直営店舗で販売している化粧品。季節に合わせた店舗限定イベントも開催しているそうだ。 |
鈴木さんと親交のある数々の企業の商品も販売している。 |
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5.取材の中で生まれた質問
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学生のうちに取り組むべきことを教えてください。
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鈴木さん
「自分で創り出す」経験をしてほしいです。学生のうちに様々なことに挑戦し、多くのことを吸収すると良いです。今はバーチャルでの体験も充実していますが、やはり実体験が大切だと思います。海外に行くとか、旅行に行くとか、何でもいいのでやってみてほしいです。私自身、学生の頃、新聞部やアルバム委員などで活動したことが現在の仕事に生きています。当時は将来役立てようとは考えてもいませんでしたが、今ではとても助けられています。意外な場面で役立つこともあるので、どんなことにも一生懸命取り組んでほしいですね。 |
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どのような学生と一緒に働きたいですか?
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鈴木さん
意欲があって、明るくて素直、そして思いやりがある人ですね。会社は独りで働くものではなくてみんなで働くものなので、人に対する思いやりは大切だと思います。何かやってみたらと言われたときに、「私はいいです」と言うのではなくて、色々挑戦して欲しいので「やってみます」「やらせてください」と言ってくれる人と一緒に働きたいです。 |
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女性社員が多いと思うのですが、男性社員も募集していますか?
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鈴木さん
もちろん男性も募集しています。女性社員が多いと男性は居心地が悪いのかなと思われることがあるかもしれないですが、男性社員からは、性別を意識せず自然体でいられると聞いています。社員が皆、男性に対しても女性に対しても尊敬の気持ちがあるのでとてもいい関係を築けています。 |
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自身の夢を笑顔で語る社員の方々。みなさん挑戦することに意欲的で、活力に満ちていた。 |
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岩岡 知里
(大学2年生) |
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栗丸 花梨
(大学3年生) |
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柴田 芽依
(大学1年生) |
大学でD&Iについて勉強していることもあり、その学びを深めたいと考え本事業に参加しました。また、私自身が県外の出身なので、茨城県にはどのような企業があるのか知りたいと思ったことも参加理由の一つです。鈴木ハーブ研究所への取材を通して、鈴木社長が会社だけでなく社会全体の幸せについてお考えになっていることに非常に感銘を受けました。
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就職活動を始めている中で、県内企業について知ることはもちろんのこと、取材・執筆という学校ではなかなか経験のできないことを学べるという点に惹かれ、参加しました。取材をした鈴木ハーブ研究所の良さを、読んでいただく方にも伝わるように執筆することがとても難しかったです。また、取材を通して、自身の就職活動の軸が定まりました。
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大学では現代社会に関わることを幅広く学んでいます。授業の中で多文化共生やダイバーシティについて知る機会があり、この事業にも興味を持ちました。取材・執筆活動を通して、他の大学の人や、社会人、社長といった普段の学生生活では関われないような方とたくさん話すことができ楽しかったですし、自分とは違う視点を知れて面白かったです。
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