学生が見る 県内企業のD&I 2024

 

         

    
 
会社設立 1999年
本社所在地 茨城県ひたちなか市足崎433−2
事業概要 ほしいもの製造、加工、販売
HP https://www.shinainouen.com/
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■事業所内託児所、短時間勤務制度の実施 子育てと仕事の両立が可能に
 「子育てをしながら働きたい・少しずつ社会復帰をしたい」という子育て世代と、「長時間お願いしたい仕事量はではないが、干しいもの袋詰めなどの細かい作業を担当してくれる人材を確保したい」というしんあい農園のお互いのニーズに対応するため、事業所内託児所「うのはな」を開設しました。託児所開設により、20代、30代の雇用希望者が年々増加し、また、小袋販売の需要も増えたため、袋詰めの担当部署を1部署から2部署に増やして稼働しています。
 しんあい農園では、希望の時間帯、希望の勤務日数、希望の就業部署を選択できる「選べる職場制度」を取り入れています。子育て世代は短時間勤務で小袋詰めを行い、芋の選別を素早くできるスペシャリストとなり、また、子育てが落ち着いた世代は通常勤務で、根気や手先の器用さ、経験を生かして、干しいも加工の第一線で活躍しています。様々な世代や立場の人を雇用するにあたり、それぞれ働ける時間帯が異なりますが、それぞれの世代や立場に応じてお願いしたい作業内容が違うので、各自が自分に合った働き方をすることができます。子どもが小さいうちは短時間勤務の部署で働き、その後一度しんあい農園を離れてしまっても、通常勤務の部署へ復職するケースもあります。

 
 
 
■仕組みや道具を変えることによる、女性やシニア世代が活躍できる職場づくり
 しんあい農園は、働き手の9割が女性で、シニア世代の方も働いています。そのため、身体の構造上の理由や、女性の力でできないことはできるように仕組みや道具を作り変えることで、幅広い世代が働きやすい職場づくりを行っています。例えば、重いものにキャスターをつけたり、軽トラをマニュアルからオートマに変えたりしています。
 また、特別支援学校の教員免許を持つ社員が、その知識を生かし、誰もが働きやすい職場環境づくりを行っています。人には、目で見た情報を理解するのが得意な人、耳で聞いた情報を理解するのが得意な人など、様々な特徴や特性の人がいます。そのため、全員が仕事内容を理解し働けるように、様々な工夫をしています。例えば、使用する道具の場所、掃除の仕方などを目で見てわかるように、写真や文字にして、壁や通路に貼っています。また、指示を出す際は、あいまいな表現は避け具体的に伝える、簡潔に伝えるなど、耳で聞いてわかりやすいように心がけています。誰もが内容を確実に理解して仕事をできるようにすることで、生産性を高めることにもつながります。
 しんあい農園では、関わる全ての人が輝く農家を目指し、全ての世代が現場の中心となり活躍できる、誰もが働きやすい職場づくりを続けています。

 
稲葉 理歩さん
 
 
 私は取材を通して主に2つのことを学びました。1つ目は現状維持の大変さです。現状維持は良くも悪くも変化していないと捉えられがちですが私はそうは考えていません。環境の変化はいつも味方はしてくれません。現状維持とはそれに対して精一杯の努力をした結果だと考えています。だから私はしんあい農園さんの「戦略的現状維持」というワードに激しく共感できました。2つ目は「全ての人が輝く」です。私は人間はパズルのピースや花のようだと考えています。凹凸があるのはあたりまえで、補い合うのがあたりまえ。花はもちろん単体で輝けるものもあるけど、何かと組み合わさって花束として輝くものもある。だから私は「関わる人全ての人が輝く農家」という言葉に心を惹かれました。この他にも私はたくさんのことをこの取材を通して学ぶことが出来ました。この経験は農業にも、農業以外にも力になってくれると思うので、しっかり活用していきたいです。

岡野 凌士さん
 
 今回の取材で、最も印象深かった点は、特別支援学校の教員免許を取得する過程で学んだ知識を用いて、誰にでもわかりやすい、実行しやすい職場環境を作っていることです。これはシニア層が多い職場ならではの取り組みであると感じました。例えば、作業手順を紙に書いて掲示したり、片付け場所を同じ色で示したりなど、一つ一つの作業レベルを単純化し、わかりやすくしていました。この取り組みは、今後シニア雇用促進の流れにある、少子高齢化社会の日本において、参考になるものだと思いました。また、託児所の取り組みでは、子供を持つ親でも働きやすい環境を提供し、有資格者が子供たちの面倒を見ることで、子供を任せることにも安心感を得ることができると思います。小さな子供がいるから、働けない親にとっては、嬉しいものであると思います。今回の職場体験を通じて、シニアや子育て中の親など、さまざまな立場の人々に配慮した環境作りの実際の取り組みを知ることができました。これからも、今回の学びを忘れずに、多くの人が働きやすい社会の実現に向けて努力し、学び続けたいと考えます。

恩田 敬丈さん
 
 干しいも工房しんあい農園での取材を通じて、インクルージョンの具体的な取り入れ方を学ぶことができました。また、同業者よりもほかの作物を栽培している農家や他業種との交流から新たな気付きを得る「計画的鎖国農家」というしんあい農園の理念が、様々な世代や立場の人を雇用するにあたって、自分たちの新たなスタイルを確立するための一助となり、ダイバーシティ&インクルージョンの継続的な取り入れを可能にしているのだと感じました。
 しんあい農園では、身体の構造上の理由や、シニアや女性の力ではできないことをできるように、仕組みや道具を作り変えることで生産性を高めていることや、業務の理解を支援する方法として、視覚・聴覚・実践のすべてを行っていることを学んだことで、これらの取り組みを取り入れることによって、シニア世代の雇用がしやすくなり、農業従事者数の増加が図れるのではないかと考えました。

長谷川 陽香さん
 
 
 今回、しんあい農園さんを見学して最も印象に残ったことは、様々な世代が様々な働き方をしている点です。世代によって働きやすい時間数があるからこそ多様な働き方があるのだと感じました。また、世代によって働きやすい部署があるため、様々な部署に分けられていることを知りました。更に驚いたことは、女性を多く雇用している点です。農業は力仕事が多いから男性の割合が多いと思っていましたが、しんあい農園さんは力仕事も女性が行っていると知りました。女性は力仕事ができないのではなく、力仕事をできるようにするための工夫をしてできるようにしているところは、自分になかった視点だと感じました。今回の取材を通して、様々な世代がともに働くことへの工夫を学べたと思います。

 

羽石 心美さん
 最初は、農家で働く人は男性が多いと思っていましたが、しんあい農園さんは代表の方以外は全員が女性であるということにとても驚きました。託児所代表兼工場長が、特別支援学校の教員免許を保有していることを活かして、働く環境に、視覚による支援や、聴覚による支援などを行っていて、学んだことを実際に新たな方法で活かしていることにとても感銘を受けました。そして、様々な世代の人々と働くという多様性を認め、その多様性を活かして生産性を向上させる取り組みをする考え方を学ぶことができました。私も、働く人の気持ちを考えられるような大人になりたいと思いました。
 この体験を通して、自分の興味や将来の進路について新たな視点を得ることができました。そして、社員のみなさんに明るく温かく接していただき、とても思い出に残る体験になりました。この体験で学んだことを、将来教員になった時に、生徒に教えられるように活かしていきたいと思いました。